SECONDS for Windows(Classic GUI Version) Manual
マニュアル
Ver 0.7 18 May 2000
0.はじめに
SECONDS (Sfl Extended CONversational Design System)は,PARTHENONシステムの会話型SFL動作シミュレータです.SECONDS for WindowsはこのSECONDSを
ハードウェア設計支援環境のインタフェースを評価する目的でMicrosoft® Windows 95/NT4.0上に移植したものであり、以下の特徴があります。(1)
(2)状況に応じて利用できない操作ボタンおよびメニューが無効化され、
(3)従来スクリプト等により実現されていた
(4)32ビットコードでコンパイルされており、DOS版に比べて高速化が図られている。
従来のワークステーション版およびDOS版に対して以下の制限があります。詳細については付録等を参照願います。
(a)スケジュール機能および変数定義機能は直接使用できません。(スクリプト内からの指定は可能)
(b) スクリプト内でspeaking-streamおよびclaiming-streamを切り替えた場合の動作は保証しません。
(c)SFLオブジェクトファイルの読み込みはできません。
(d)スクリプト内でのdirコマンドはディレクトリの変更のみが可能であり、カレントディレクトリの内容の表示はできません。
LSI技術の進歩により、FPGAのような書き換え可能なハードウェア上でアプリケーションを実行させることが可能となってきています。このような書き換え可能なハードウェアの利用はソフトウェアのハードウェア化では無い従来のノイマン型の計算機を越える新たなアーキテクチャの実現を可能とするものです。ハードウェアは本来高い並列性を持っていますが、「CPU+メモリ」というハードウェア構造で処理を行うとどうしてもメモリへのアクセス部分が逐次的になりハードウェアの能力を十分に引き出すことができません。しかし、従来は「CPU+メモリ」という構造で実現されるプログラマビリティがより重要視され、性能上の欠点は多くの研究者/技術者によりさまざまな技術が適用されてきました。並列に動作可能な単位や機能がプログラマブルな書き換え可能なハードウェアを積極的に利用した分散/並列処理は、プログラマビリティと並列性を両立させるものであり、従来のアーキテクチャを大きく変化させる可能性を持つものと考えられます。
我々は、書き換え可能なハードウェアとしてPlastic Cell Architecture(PCA)を提案しています。PCAは自律再構成可能なハードウェア(ハードウェア内のオブジェクトが動的に生成/削除されるもので、ソフトウェアのnewやdeleteに相当する機能を持ったハードウェア。詳細については第11回パルテノン研究会資料集「自律再構成アーキテクチャとオブジェクト指向HDL」を参照ください)であり、我々はこれを実現する記述言語、シミュレーション環境、論理合成/レイアウト、デバイスの研究を進めています。特にPCAのような自律再構成可能なハードウェア上で処理を実現するためには、機能確認や性能評価が可能なシミュレーション環境の提供が重要な技術の一つであると考えています。今回Windows版SECONDSを作成するに当たって、従来のハードウェア設計者に限らず、並列アルゴリズムを直接並列に動作するハードウェア上で実現したいと考えているソフトウェア設計者にも利用して欲しいと考えています。現段階では従来のワークステーション版からの飛躍的な進歩はありませんが、最終的には並列/分散システムのシミュレーション環境に発展させたいと希望しております。みなさまからのご意見を頂ければ幸いです。
1.インストール
(1)利用環境
マイクロソフト社 日本語 Windows95/98/2000およびNT4.0で動作します。以下特に指定しない場合、Windows95/98/2000およびNT4.0をWindowsと呼びます。設計規模にもよりますが、32MB以上のメモリ環境での使用を推奨します。
(2)構成ファイル
通常以下の「実行ファイル」および「ライブラリファイル」が必要です。
実行ファイル
com\Image.exs
com\Sfltrns.pl
com\seconds.exe
ライブラリファイル
sfl_lib.dir\alu16.h
sfl_lib.dir\ :
sfl_lib.dir\zero8.nld
Windows付属のエクスプローラ等を使用してフォルダを作成(以下の説明ではフォルダ名は"YourPar"とする)し、作成したフォルダにこれらのファイルをディレクトリごとコピーしてください。
(2)インストールのための設定
DOS版と異なり、Windows版(GUI版)のSECONDSではパスと環境変数の設定は不要です。
以下特に区別しない場合、SECONDS for WindowsをSECONDSと呼びます。
2.SECONDSの操作方法
ここでは、SECONDS for Windowsの操作方法について簡単に説明します。この章に記載されている操作を理解することで必要最小限のシミュレーションを行うことができます。
用語
最大自動登録ワード数:TreeViewにinstall後に自動的にアイコンとして登録されるメモリのワード数。このバージョンでは256ワード。
ListViewへの最大登録ワード数:TreeViewのアドレス指定によりListViewに登録可能な最大ワード数。このバージョンでは256ワード。
ダンプ表示可能最大ワード数:メモリの右クリックによりダンプ表示される最大ワード数。このバージョンでは4096ワード。
2.1 起動
comディレクトリ内の"seconds.exe"をダブルクリックすることでSECONDSが起動します。オープニングダイアログが表示された後、図1に示すウィンドウが表示されます。
図1.起動直後のSECONDSのウィンドウ
必要に応じてショートカットを作成してご使用ください。ショートカットのプロパティで指定される"作業フォルダ"にSECONDS起動直後のカレントディレクトリを指定することができます。
SECONDSは起動直後のカレントディレクトリに設定ファイルが格納されている場合、その設定ファイルの内容に従って初期設定を行います。設定ファイルの詳細については「3.3 設定ファイル」を参照ください。
2.2 終了
ウィンドウの
終了ボタンまたはメニューの「ファイル」-「SECONDSの終了」を選択することで終了できます。終了の際に、「終了の確認」および「ログファイルの保存」を尋ねてきますので、必要に応じて「はい」「いいえ」または「キャンセル」を選択してください。「ログファイルの保存」を行う場合には保存するファイル名を入力します。
2.3 シミュレーション
SECONDSは従来のCUIベースのSECONDS(WS版やDOS版)と同様に以下の手順でシミュレーションを実行します。
(1)SFLファイルの読み込み。
(2)トップモジュール(外部と直接インタフェースを持つモジュール)を指定してシミュレーションイメージを構築。
(3)シミュレーション条件の設定。
(4)観測対象(端子、レジスタ等)の選択。
(5)シミュレーション時刻を進める。
ここでは、これら一連の操作を順に説明します。
2.3.1 SFLファイルの読み込み
起動直後に表示されるウィンドウを図1に示します。左から2番目の
SFL読み込みボタンを押すと読み込むSFLファイルを指定するダイアログボックスが表示されます。これらの操作を繰り返して必要なSFLを読み込みます。ただし、読み込んだファイルにインクルードの記述(SFLでは”%I”で指定)が含まれている場合はそのファイルを指定して読み込む必要はありません。
図2.SFLファイルの読み込み
2.3.2 シミュレーションイメージの構築(インストール)
必要なSFLファイルの読み込みが完了した後、シミュレーションイメージの構築(SECONDSではインストールと呼びます)を行います。SECONDSでは全体のSFLの記述が完了していない時点でもシミュレーションイメージの構築方法を指定することで、読み込んだSFL記述の部分的なシミュレーションができます。シミュレーションイメージの構築では、以下の2つを指定します。
(1)トップモジュール。(外部と直接インタフェースを持つ最上位モジュール)
(2)SFLの記述に従ってトップモジュールに含まれるサブモジュールを全て構築するか否か。
図3に示すように、左から3番目の
インストールボタンを押すと、SFL記述に含まれるトップモジュールとなりうるクラス名の一覧および「全てのサブモジュールを対象とする」を指定するチェックボタンが表示されます。ここで、トップモジュールとなるクラス名を選択し、"OK"を押せば指定したクラスをトップモジュールとし、そのトップモジュールに含まれる全てのサブモジュールを含むシミュレーションイメージを構築します。通常のシミュレーションであれば、トップモジュールに含まれるサブモジュールを全て構築するので、チェックボックスはチェックしたままで"OK"を押します。トップモジュールに含まれるサブモジュールの記述がまだ未完成であったり、シミュレーションに不要である場合には「全てのサブモジュールを対象とする」のチェックを消して"OK"を押してください。この場合トップモジュールに含まれるサブモジュールについてはインターフェースのみを持つモジュールとしてシミュレーションイメージが構築されます。
図3.シミュレーションイメージの構築(インストール)
2.3.3 シミュレーション条件の設定
シミュレーションイメージ構築後に表示されるウィンドウを図4に示します。左側のトップモジュールが表示されているウィンドウを
TreeViewと呼び、右側の3つの端子が表示されているウィンドウをListViewと呼びます。インストールが終了した時点で左から5番目以降のボタンが使用可能となります。TreeViewは2.3.2で構築したシミュレーションイメージの階層表現を表示します。Windowsのエクスプローラと同様にトップモジュール以下の「+」をクイックすることでそのモジュールに含まれる要素を順次表示することができます。特に設定ファイルで指定しない場合にはListViewにはトップモジュールの直下に含まれる端子およびデータレジスタが自動的に登録されます。ここで、注意すべきことは、エクスプローラと異なり、ListViewの表示がTreeViewで選択した項目と連動していない点です。TreeViewの選択項目を変更してもListViewの項目内容は変わりません。これにより、シミュレーション実行中に観測する必要がある任意の階層の端子やレジスタをListViewに登録することでユーザはシミュレーション結果の確認が可能となります。
シミュレーションを行うためにはプログラムで変数に初期値を与えるのと同様に端子、レジスタおよびメモリ(これらはファシリティと呼ばれる)に値を設定する必要があります。Windows版のSECONDSでは
ボタンやマウスの右クックメニューを使用してファシリティへの値の設定等を行います。
図4.シミュレーションイメージ構築後のウィンドウ
(1)値の設定
レジスタ、端子およびメモリへの値の設定はTreeViewまたはListView内の設定対象項目(ファシリティ)を選択し、右クイックメニューの「プロパティ」により行います。図5にプロパティダイアログボックスの表示例を示します。ListViewでは複数のファシリティを選択し、選択したファシリティに対して一括して値を設定することができます。(複数項目の選択にはShiftキーまたはCtrlキーをマウスのクィックと組み合わせて使用します。上手く選択できない場合にはマウスのボタンを押しながらListViewのアイコン上でマウスを少し動かしてみてください)
選択したファシリティに対して設定する値は「設定する値」の部分に入力し、"OK"ボタンを押します。簡単な設定例はダイアログボックスに記載されていますが、詳細については、PARTHENONホームページ等をご覧ください。また、選択項目が1つの場合には、プロパティダイアログボックスにはそのファシリティの詳細な情報(種類、親モジュール名、現在の値、hold状態であるか否か、ビット幅、初期値、そのファシリティを参照および更新するSFL記述)が表示されます。
また、メモリのアドレスで範囲を指定した初期設定は、右クイックメニューの「メモリ内容の初期化」により行います。
図5.ファシリティの情報表示と値の設定
また、GUI版では、メモリのListViewへの登録、内容の初期化および内容のダンプ表示をアドレスで範囲を指定することで行うことが可能となっています。これらの操作はListView内のメモリを構成するcellの右クイックメニューで表示される「ListViewにワードを追加」、「メモリ内容の初期化」および「メモリ内容のダンプ表示」によりそれぞれ行うことができます。これらの操作の例を図6〜図8に示します。
図6.メモリのワードをアドレスで指定してListViewに登録する
図7.メモリのワードをアドレスで指定して初期化(値を設定)する
図8.メモリのワードをアドレスで指定して内容を表示する
(2)hold状態の設定
SECONDSでは記憶機能の無いファシリティである端子の値は次のクロックでは失われてしまいます。このようなファシリティにクロック毎に値を設定することは煩わしいので、設定した値を別な値が設定されるまでの間保つようにするコマンドがあります。これは、ファシリティを選択し右クイックで「hold状態を設定する」を選択することで設定されます。また、同様にhold状態のファシリティを選択し右クイックで「hold状態を解除する」を選択することで解除されます。
(3)リクエストへの登録および削除
シミュレーション実行時に、シミュレーション時刻を進めるために端子に入力要求が発生したことをユーザに知らせ、値を入力させるようにするリクエスト機能があります。端子をリクエストの対象に登録することで、入力を促すダイアログが自動的に表示されます。デフォルトでは、トップモジュールのデータ入力端子およびデータ入出力端子がリクエスト対象として登録され、シミュレーションイメージ構築後にリクエスト機能は有効となります。(WS版およびDOS版では起動時にリクエスト対象を自動登録したりする機能はありません。また、デフォルトではリクエスト機能は無効となっています。)
当該端子からのリクエスト機能を有効にするためには、ファシリティを選択し、右クイックで「リクエストに登録」を選択することで有効となりリクエストに登録されます。現時点でのリクエストに登録されている端子の一覧を参照は、メニューの「オプション」−「リクエストの設定...」で行います。ここで、「リクエストが有効」のチェックボタンをオフにすることで、リクエスト機能を無効化することができます。ただし、無効化しても登録は削除されません。
リクエストからの削除は、メニューの「オプション」−「リクエストの設定...」で表示されるダイアログで一覧から選択して削除するか、登録と同様に右クイックで行います。
2.3.4 観測対象の選択
シミュレーションイメージ構築後にListViewにはトップモジュールの直下に含まれる端子やデータレジスタが自動的に表示されますが、その他のファシリティの値を選択してListViewに登録したりすでにListViewに登録されているファシリティを削除したりすることができます。ListViewへの登録はTreeView内で登録したいファシリティを選択し、右クイックで「LisViewに追加」を選択します。ただし、最大自動登録ワード数を越えるメモリはメモリファシリティでの右クイックで「LisViewにワードを追加」を選択します。また、ListViewからの削除はListView内で削除したいファシリティを選択し、右クイックで「LisViewから削除」を選択します。ただし、アドレスで指定可能なワード数はListViewへの最大登録ワード数
ListViewに登録したファシリティに対してはいくつかの特別なコマンドを実行することができます。ListViewのサブアイテムである「Value」に表示される形式を2進数、8進数、10進数、16進数から選択することができます。また、LisView内での表示順序を変更する「上に移動」や「連続するように整列」等が利用でき、ユーザが見やすい順番に信号を並べ帰ることができます。「プロパティ」では、トラップパターンを指定することができます。これは、0、1およびドントケアによってパターンを指定し、シミュレーション時刻の進行に対してトラップをかけるものです。ファシリティの値が指定したトラップパターンになった時刻でシミュレーションが停止します。(ただし、forwardダイアログで「1クロック刻みで実行」のチェックボタンがオンになっている必要があります)
2.3.5 シミュレーション時刻を進める
上記の設定が完了することで、シミュレーションを行うための準備が全て完了しました。シミュレーションを進めるには2つの方法があります。1つは
ステップ実行であり、右から4番目のステップボタンを押すことで時刻が1クロック進みます。現在時刻はウィンドウの左下のステータスバーに表示されています。また、右から5番目のランボタンを押すことで表示されるダイアログで複数クロックを進めることができます。1クロック刻みで実行することで、トラップパターンのチェックがクロック毎に行われます。単にシミュレーション時刻を指定時刻まで進めたい場合には「上記時刻まで1クロック刻みで実行」のチェックボタンをオフにしてください。右から5番目のランボタンを押すことで表示されるダイアログで時間を指定せずに"OK"ボタンを押した場合には予め指定されている時刻(強制ブレーク時刻)までシミュレーション時刻を進めます。デフォルトでは現在時刻より1000クロック後の相対時刻が強制ブレーク時刻となります。強制ブレーク時刻は右から2番目のボタンで設定します。
図9.シミュレーション時刻を進める
2.3.6 タイミングチャートを表示する
今回タイミングチャート表示機能(右から3番目の
タイミングチャート表示ボタン)を追加しました。タイミングチャートは以下の条件で表示されます。(1)タイミングチャート表示ボタンが押された時点でListViewに登録されているファシリティ
(2)ファシリティがListViewに登録された時点からの値
(3)クロック刻みで実行がオンの状態またはステップ実行で時刻が進められた各時刻での値
図10.タイミングチャートの表示例
タイミングチャートはメタファイルとして保存でき、WordやPowerPointのオブジェクトとして読み込むことが可能です。タイミングチャート内では各ファシリティの値を以下の条件で表示します。
(a)ステージレジスタは状態名を値として表示し、他のファシリティは10進数の値を表示。
(b)値が不定の場合には'u'で表示。ただし、ドライブされていないデータ入力端子は'z'で表示。
10進数にようる表示では1ビットでも不定なビットが含まれると値が'u'と表示されるため、ウインドウの上部に設けたステータスバーにマウスカーソルのある位置の「シミュレーション時刻」、「ファシリティのフルパス」、「10進数での値」および「2進数での値」を表示しています。
タイミングチャート内での右クイックにより、マウスカーソルのある時刻からシミュレーション時刻の進行方向または逆方向にその信号の値を検索することが可能です。検索する値は2進数で指定し、ドントケアは'*'で指定します。
3.便利な使い方
以上2章で述べた使用方法によりSFLを読み込んでシミュレーションを実行することは可能ですが、より効率的にデバグを行うために幾つかの機能が用意されています。ここでは、これらの機能について説明します。
3.1 起動環境をカスタマイズ
(1)ショートカットによる起動直後の作業用ディレクトリの指定
SECONDSの起動を直接seconds.exeのダブルクイックでなく、ショートカットのダブルクィックで行うことで、SECONDS起動直後の
作業ディレクトリを指定することができます。シミュレーションを行うファイル毎にショートカットを作成することで、作業用ディレクトリを簡単に切り替えて起動することができます。作業用ディレクトリの作成は以下の手順で行います。1:seconds.exeのショートカットを作成。
2:上記1で作成したショートカットの右クリック 「プロパティ」から「ショートカット」タブを選択。
3:「作業フォルダ(S)」に作業ディレクトリのフルパスを指定する。
(2)起動パラメータ
SECONDSには起動パラメータがあります。起動パラメータを指定しない場合にはデフォルト指定でSECONDSが起動します。起動パラメータにより
動作モードの指定および設定ファイルの指定が可能です。起動パラメータの指定は上記(1)で作成したショートカットを使用して、以下の手順で行います。1:ショートカットの右クリック 「プロパティ」から「ショートカット」タブを選択。
2:「リンク先(T)」のseconds.exeの後ろに半角スペースを加え起動パラメータを指定する。
指定可能な起動パラメータは以下の通りです。ここで指定した以外のパラメータの指定を行った場合のSECONDSは動作は予測できないものとなります。
seconds.exe {/s|/e} {/f <設定ファイル名>}
/s:
/e:
エキスパートモード。シンプルモードに加えてログ出力ウィンドウが表示される。/f:設定ファイルによるSECONDSのシミュレーション環境を設定する。設定ファイル名は起動直後の作業用ディレクトリからの相対指定または絶対パス指定で指定します。設定ファイルの詳細については以下を参照ください。
3.2 SFL編集用エディタの設定
SFL読み込み時にSFL構文解析部がエラーを検出するとエラーの原因となっているファイルを表示します。デフォルトではWindowsに付属するメモ帳(notepad.exe)が使用されますが、
ユーザが指定したエディタを使用してSFLファイルを表示することができます。エディタの指定およびエディタの起動パラメータの指定は「オプション」−「SFLエディタの指定...」で表示されるダイアログボックスで行います。「エディタプログラム」には使用するエディタのプログラム名を(必要であればフルパスで)指定します。「第1パラメータ」、「第2パラメータ」および「第3パラメータ」は必要に応じて「ファイル名」、「行番号」または「列番号」のラジオボタンから指定してください。ラジオボタンをオンにしたパラメータについてはパラメータの書式を記述してください。ただし、「ファイル名」となる部分には%sを「行番号」または「列番号」となる部分には%dを記入してください。
[設定例]
エディタプログラム"sfledit.exe"でファイル名"test.sfl"のファイルの40行目の第15列目を指定して起動する書式が以下の場合には、図11に示すように指定します。
sfledit.exe /f test.sfl /L=40 15
図11.SFLエディタの設定例
3.3 設定ファイル
(1)設定ファイルの保存
設定ファイルに
現時点でSECONDSに設定されている内容を保存することができます。また、ここで保存したファイルを起動パラメータで指定することにより、SECONDSをオリジナルの設定環境で使用することができます。設定ファイルに保存されるのは以下の項目です。(a)設定ファイル保存直前の作業用ディレクトリ
(b)SFLの参照/変更時に起動されるエディタの設定
(c)ListViewに登録されているファシリティ
起動時に設定ファイルを指定することで、起動直後に上記(a)および(b)の設定が有効となり、トップモジュールのインストール直後(シミュレーションイメージの構築直後)に上記(c)が有効となります。
(2)設定ファイルの内容
設定ファイルはテキスト形式のファイルですので、ユーザが必要に応じて内容を変更することができます。設定ファイルは[ ]で記述された行である
キーワード行とそれに引き続く1行以上の設定行から成ります。次のキーワード行の前またはファイルの末尾までがキーワード行に対応する設定行です。原則としてキーワード行を削除する場合にはそれに対応する設定行も削除してください。以下では各キーワード行の意味について説明します。[SetCurrentDir]では起動直後の作業ディレクトリを指定します。
[SflEditor]ではSFLの参照/変更時に起動されるエディタおよびエディタの起動パラメータの書式を指定します。
[ClearLisViewItem]では現在登録されているListViewのファシリティを全て削除するか否かを指定します。設定行が
”Yes”の場合には現在登録されているListViewのファシリティを全て削除し、それ以外の場合には無視されます。また、[LisViewItem]では、ListViewに登録するファシリティを指定します。設定行の各行は1つのファシリティに対応し、ファシリティの指定はトップモジュールからのフルパスで指定します。トップモジュール等のファシリティ以外のインスタンスを指定しないでください。メモリのワードはメモリセルへのパスに半角スペースとアドレス(十進数)を付加した形式で指定します。
図12.設定ファイルをDrag&DropすることでListViewの観測項目を設定する
3.4 スクリプトファイル
WindowsのようにGUIベースのインタフェースは初心者やシミュレーションの初期段階では有効ですが、定型化された手順で初期化/初期設定等を行う場合にはユーザが同じ操作を繰り返し行う必要が生じます。SECONDSではこれらの定型処理をテキスト形式のスクリプトファイルと記述し、実行させることができます。しかし、スクリプトファイルを作成するためにはユーザが従来のCUIコマンドをWindows版の操作とは別に修得する必要があります。Windows版のSECONDSでは、このようなスクリプトファイルを作成するための支援機能として
スクリプトファイル自動作成機能があります。(1)スクリプトファイル自動作成
Windows版のSECONDSでは「ファイル」−「スクリプトの保存...」によりファイルを指定することで、SECONDS起動直後から現時点までにSECONDSに対して行った操作をCUIコマンドに変換したテキストファイルを作成します。ユーザはこの方法で作成したテキストファイルをスクリプトファイルとして実行することで一連の操作と等価な処理を実行することが可能となります。また、ユーザが作成されたスクリプトファイルをテキストエディタ等で必要に応じて変更するだけで定型的な繰り返し操作を容易におこなうことができます。
(2)自動作成されたスクリプトファイルを使用する
上記(1)で作成されたスクリプトファイルでは、SECONDSに対してユーザが行った操作を単純にトレースしたコマンド列が記述されているので、冗長な記述やユーザからの入力を促すリクエストが含まれています。このような冗長な記述を削除するためのヒントを以下に示します。
3.5 ログファイル
SECONDSの終了時にログファイルの保存をするか否かの確認を行います。ログファイルにはCUIコマンドおよびSECONDSが出力したメッセージが含まれています。ログファイルはテキスト形式で保存されますので、エラーの解析等にご使用ください。また、SECONDSの起動時に/eオプションを指定することによって、SECONDS実行時のログを見ることができます。
3.6 その他
以下の機能が用意されていますが、使用にあたっては注意願います。
(a)
(b)
「オプション」−「エラーダイアログを重複表示しない」をオン(デフォルトオフ)とすることで、ワークステーション版のSECONDSで1つのエラーに対して表示される先頭のエラーメッセージのみをエラーダイアログとして表示します。これにより、エラー発生時に表示されるダイアログの数を減らすことができますが充分なエラー情報が表示されなくなる場合もありますので注意してください。(ログファイルに出力されるメッセージはこの影響を受けません)(c)
「オプション」−「エラー発生時に停止」をオン(デフォルトオフ)とすることで、シミュレーション実行時によりエラーが発生するとシミュレーションを停止します。ただし、この場合、以後のシミュレーション動作は保証されませんので注意してください。
4.あとがき
今回Windows上で利用可能なWindows版SECONDSを作成しました。今回作成したWindows版SECONDSを使用することで、多くのユーザがSFLで記述されたアルゴリズムを真の意味で並列に実行可能な環境に触れ、将来の新しいアーキテクチャに関心を持たれるように期待しています。Windows版SECONDSに対する
感想、要望等がございましたらparthenonのメーリングリスト宛お願いいたします。
付録A:ワークステーション版(CUI版)との操作対応表