例えば, 通常行われている入札方法では, 最も高い金額を入札した人が商品を得て, 自分の入札した金額を支払います. この場合, 不正を働いて他人の入札額を知ることができれば利益を増やすことができます.一方, このような不正行為の影響を受けない方法として, Vickreyオークションと呼ばれる方法が提案されています. この方法では, 最も高い金額を入札した人が商品を得る点は通常の入札と変りませんが, その際の支払額は, 自分の入札した金額ではなく, 二番目に高い入札額となります.
この場合, たとえ, 他人の入札額を知ったとしても意味はなく, 自分が支払う意思のある最大の金額を入札することにより, 利益を最大化することができます (正直は最良の策). この方法を一般化して, 複数の商品を同時に扱うことを可能にした Generalized Vickrey Auction (GVA) が提案されており, 架空名義入札がなければ, この方法では正直が最良の策であり, 商品の割当てに関して社会的な最適性が得られる, すなわち, 参加者全員の効 用の総和が最大化されることが保証されていました.
しかし, インターネットオークションでは, ネットワークの匿名性を利用した 架空名義入札が可能となります. その場合, GVAで正直が最良の策でなくなる だけでなく, どのような方法を用いても社会的な最適性を保証することが 不可能であることを理論的に証明しました. そこで, 架空名義入札が可能な場合でも正直が最良の策となり, 準最適な商品の割当てが得られる新しい入札方法を考案しました. 今後とも理論的研究を通じて, 安心して利用できるオークションシステムの設計に貢献していきます.
Last modified: 13 April 2001