情報経済学

-- 誰もが安心して参加できる電子商取引の実現を目指して --

English version is here

概要

電子商取引の一種としてインターネットオークションが急速に発展しています. インターネットを利用することで, 非常に大規模なオークションが安価に実施できるようになった反面, ネットワークの匿名性を利用した新しい不正行為が生じる可能性があります. 私たちはこのような不正行為の一種である架空名義入札 (一人の参加者が複数のメールアドレス等を用いて入札を行うこと)と取り込み詐欺に注目してオークション理論の研究を進めています.
架空名義入札の問題

「正直が最良の策」となるオークション方式の提案

例えば, 通常行われている入札方法では, 最も高い金額を入札した人が商品を得て, 自分の入札した金額を支払います. この場合, 不正を働いて他人の入札額を知ることができれば利益を増やすことができます.一方, このような不正行為の影響を受けない方法として, Vickreyオークションと呼ばれる方法が提案されています. この方法では, 最も高い金額を入札した人が商品を得る点は通常の入札と変りませんが, その際の支払額は, 自分の入札した金額ではなく, 二番目に高い入札額となります.

この場合, たとえ, 他人の入札額を知ったとしても意味はなく, 自分が支払う意思のある最大の金額を入札することにより, 利益を最大化することができます (正直は最良の策). この方法を一般化して, 複数の商品を同時に扱うことを可能にした Generalized Vickrey Auction (GVA) が提案されており, 架空名義入札がなければ, この方法では正直が最良の策であり, 商品の割当てに関して社会的な最適性が得られる, すなわち, 参加者全員の効 用の総和が最大化されることが保証されていました.

しかし, インターネットオークションでは, ネットワークの匿名性を利用した 架空名義入札が可能となります. その場合, GVAで正直が最良の策でなくなる だけでなく, どのような方法を用いても社会的な最適性を保証することが 不可能であることを理論的に証明しました. そこで, 架空名義入札が可能な場合でも正直が最良の策となり, 準最適な商品の割当てが得られる新しい入札方法を考案しました. 今後とも理論的研究を通じて, 安心して利用できるオークションシステムの設計に貢献していきます.

「正直が最良の策」となる商品と代金の交換方式の提案

商品と代金の交換方法
取り込み詐欺を防ぐために, 参加費の徴収を行うことで, 詐欺行為を排除します. 従来方法には, 売手/買手の同定を厳密に行う必要があったり, 取引仲介に要する費用が大きくなるといった問題がありました. そこで, 詐欺行為を排除するだけでなく, 商品配送と代金支払いの順序を制御することで、参加費の低減を可能とする取引方式の考案を行い, 善良な売手と買手にとって, 参加しやすい取引環境を提供します.
Contact: 横尾 真; Email: yokoo@cslab.kecl.ntt.co.jp

Last modified: 13 April 2001