あらまし

本論文では2次元射影像のみから複数の3次元物体の認識・類別を行う神 経回路モデルを提案する.本モデルは複数のモジュールからなり,モジュール間で競 合を行いながらそれぞれのモジュールで入力射影像の圧縮・復元を学習する.その結 果,各モジュールはそれぞれ一つの物体の射影像のみを復元できるようになり,その 復元精度から物体の類別を行うことが可能となる.この過程では物体のラベル等の教 師信号は不要である.さらに,本モデルでは入力特徴を限定していない.すなわち, 入力情報を画像濃淡値としても,各特徴点の座標としても同様のネットワーク構造で 扱うことができる.本論文では本モデルの詳細を説明するとともに,計算機実験の結 果も合わせて提示する.この実験結果は,視点方向によらない3次元物体の認識が教 師信号なしに可能であり,各モジュールの内部表現(圧縮表現)は視点方向に等価で あることを示している.これは2次元情報のみからの3次元情報の推定を意味してい る.また,脳内の神経結合と比較して,情報の圧縮・復元過程は2つの視覚領野間の 双方向結合に,モジュール間の競合は視覚領野内の水平方向の結合に対応づけて考え ることができる.

キーワード

3次元物体認識,モジュール構造,教師なし学習,情報圧縮・復元,競合学習, 双方向結合


Last modified on: Wed Oct 14 11:22:24 1998