6/5(木)14:45~15:40

「フカシギの数え方」から広がる世界

~離散構造処理の現在と今後の展望~
湊真一(北海道大学 大学院 情報科学研究科 教授)

講演アーカイブ

(以下抜粋)
さて、まず離散構造についてお話しします。離散構造(Discrete Structure)とは、離散数学や計算幾何学の基礎をなす数学的な構造、たとえば集合や論理や証明ですとか、グラフ理論のグラフ、組合せ、順列、確率などを含めたものの総称として、離散構造と呼んでおります。およそ計算機で解けるようなありとあらゆる問題というのは、単純な基本演算を要素とする離散構造の処理に帰着されます。計算機そのものが、そういった単純な演算の繰り返しでしかないわけです。ただ、最終的には膨大な場合分け処理を要することが多いですし、これを高速に処理するということは、ありとあらゆる応用分野に共通する基盤技術なので、現在の情報化社会に対する波及効果はきわめて大きいのではないでしょうか。離散構造というのは数学的な概念構造です。定理を見つけて証明すれば、それは永久に不滅です、という世界なので、そういった… => 全文はこちらの資料からご覧ください(PDF)

講演者紹介

専門分野

大規模離散構造データ処理

プロフィール

1988年
京都大学工学部情報工学科卒業
1990年
京都大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了
1995年
京都大学大学院工学研究科情報工学専攻博士課程修了 博士(工学)
1990~2003年
NTT研究所勤務
2004年
北海道大学大学院情報科学研究科助教授(2007年准教授)
2009年より
科学技術振興機構(JST) ERATO湊離散構造処理系プロジェクト研究総括(兼務)
2010年
北海道大学大学院情報科学研究科教授、現在に至る
この間、スタンフォード大学計算機科学科客員研究員、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス非常勤講師、早稲田大学先進グリッド技術研究所招聘研究員等を歴任。

主要研究テーマ

大規模離散構造データの効率的な表現と処理アルゴリズムの研究に従事。1993年に考案したデータ構造「ZDD」は、Knuthの名著「The Art of Computer Programming」(Vol.4, Fascicle 1, 2009年)において、日本人としては初めて独立した項目として詳しく掲載された。
2012年8月~2013年4月に日本科学未来館において「フカシギの数え方」出展。同展示で制作・監修したアニメ動画がYouTubeで150万ビューを突破。
編・著書として「Binary Decision Diagrams and Applications for VLSI CAD」(単著、Kluwer Academic Publishers、1996年)、 「英語で学ぶ計算理論」(共著、コロナ社、2009年)、「基礎から学ぶ情報理論」(共著、ムイスリ出版、2012年)等。