運動残効による傾き誘導
- 同じ方向の運動を見続けた後(順応)、実際には止まっている刺激がそれまでとは反対方向に運動して知覚されるという錯視現象があります。これを運動残効といいます。
- これまで運動残効は位置や形の変化を伴わないと言われてきましたが、実際はそうではありません。
- 下の図は上から順に順応刺激1、テスト刺激、順応刺激2で、二つの順応刺激では回転方向が反対です。
- どちらかの順応刺激を運動させ、その中心の「おへそ」を凝視したまま回転する風車を10秒ほど観察します。
- 次に、テスト刺激の「おへそ」に目を転じますと、運動残効によって、実際には止まっている風車が順応時とは反対方向に回転運動して見えます。と同時に、そのみかけの運動の方向に風車が傾いて見えるのです。
- この傾き誘導は、運動情報が位置や方位の変化に変換される仕組みが脳内に存在することを意味しています。
詳しくは、以下の文献をご参照下さい。
Nishida,
S. & Johnston, A. (1999). Influence of motion signals on the
perceived position of spatial pattern, Nature, 397, 610-612.
