NTTコミュニケーション科学基礎研究所 研究内容紹介 協創情報研究部08

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情動・感情・知性へ働きかけるエージェント

場に応じて対話するエージェントの実現

media_9_1j.jpg私たちは、人や自然との触れ合いのなかで、ほっと心が安らいだり、心の温かみを感じたりすることがあります。またある時には、ふとした発見に、知的な愉しみや驚きを覚えたりもします。日々の営みを冷静に分析してみると、実は、こうした些細なことの積み重ねが生活の質を高める上で大切なことがわかります。しかしながら、社会の都市化、情報化、核家族化、少子高齢化が進むなかで、私たちは以前にも増してストレスや不安にさらされています。効率性、利便性、合理性一辺倒の価値観から脱却し、新たな視点で豊かさへの貢献を考えてみなければなりません。そうした問題意識のもと、エージェントが場に応じて円滑なインタラクションを実現することにより、ささやかながら、このような豊かさへ貢献する研究を行なっています。本研究では、映像、音声、音響、言語など種々の情報から人間と環境の状況を理解し、表出する視線や顔向き、音声、言語などの行動をその状況に応じて適切に制御するエージェントの実現を目指します。この目標に向けて、信号処理、メディア処理、言語処理、知識処理だけでなく、発達心理の分野にまで足を踏み入れ、既存の学問分野の範疇を超えた新しい研究領域も視野にいれながら研究を行なっています。

■人の情動・感情、行動の変化に即応する行動制御

人間の情動・感情には、喜怒哀楽の他にも、ほっとする安堵感、あれっと思う違和感、驚き、疑念、満足感、ためらい、困惑、いらだちなど様々なものがあります。日常生活において、相手に配慮したさり気ない心配りが重要であるように、エージェントとの対話による不安の緩和、幸福感の醸成には、人の心情を察して、適切に行動することが必要です。そこで、様々な状況下で生成される多様な表情と音声を収集するとともに、顔の部分領域の動きなどの非音声、声の抑揚や高低などから、心情理解に有効な特徴を抽出して心理状態変化をモデル化する研究を進めています。このモデルを使って、理解された心理状況に基づき、人への働きかけを適切なタイミングで行なう行動制御を実現します。このような制御を、実環境で動かすためには、頑健性、動作の実時間性なども求められます。この目標に向けて、ここでは特に、環境音、音声、人物の動作、顔の表情、言語情報などを手がかりとする行動処理を、複数モダリティの統合処理、分散処理について研究を進めています。

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■情動・感情・知性に働きかける行動の生成

media_9_4j.jpg思考喚起型多人数対話人と環境を仲介するエージェントは、人の情動・感情・知性に対して、場に応じた適切な働きかけを行うことが必要です。そうしたエージェントの行動生成について、まず、思考喚起型多人数対話による人間コミュニケーションの活性化について研究を進めています。この対話では、複数の人間とエージェントがクイズを題材としたやり取りを行います。エージェントがヒントを適切な順序で提示したり、適切な感情を示すことにより、人間の発想やコミュニケーション意欲が活発になります。さらに、感情認識、感情音声合成の研究と連携しながら、言語・音声・身振りなど様々なモダリティを通して、情動・感情・知性に適切に働きかける行動生成のモデル化を進めています。

■情報通信環境構築のための人間科学

media_9_5j.jpg子供とエージェント少子高齢化、情報格差など様々な問題が顕在化しているなか、誰もが容易に情報通信技術の恩恵を享受できる環境を構築することは、私たちの目標の一つです。特に、情報弱者となりがちな高齢者や子供達への配慮は欠かせません。そのためには、人間の特性に対する深い理解が必要となります。その研究の手始めとして、現在、乳幼児の言語発達に関するこれまでの研究成果を基礎にして、人と環境を仲介するエージェントがどのように行動を学習していくべきなのかを明らかにする研究を進めています。