絵コンテ制作支援システム [ Hierographs ]



Hierographsとは
 ドラマ作りの専門家ではない私たちでも,台本や絵コンテを作ることができるように支援する
のが本システムです.支援には大きく2つの方法があります.ひとつは絵コンテで表現をする
のに必要な情報の理解と管理のための支援です.もうひとつは,絵コンテを作成する技術的な
支援です.プロが表現に用いていることばにあらわれない様々な「空間情報」を私たちにもわ
かる形に「視覚化」しているところに特徴があります.
本システムは,映像作家の佐々木成明氏との共同研究の成果をもとに開発したプロトタイプシ
ステムです.

 シナリオ作成では空間の認識力,空間の表現力が重要な能力です.シナリオを書く行為と絵
コンテを描く行為を同時並行的に行うことで,この2つの能力の拡張が出来ることが本システ
ム(Hierographs)の大きな特徴です.
 本システム(Hierographs)を使ったシナリオの制作は通常のシナリオ制作と同じく,
 第一段階:前準備,
 第二段階:シナリオを書く,
 第三段階:シナリオで伝えきれない部分を絵にする
という3つの段階に分かれます.
 第一段階:タイトル,あらすじ,シーン設定(シーン名,シーンのあらすじ),をテキストで入力し
ます.続いて,登場人物,大道具,小道具を登録します.これは既にシステムに登録されてい
るオブジェクトから選択することになります.
 第二段階:内蔵したテキストエディタでセリフや,ト書きを入力します.シナリオではむやみに
登場人物を増やすことはできません.あらかじめ第一段階で考えた登場人物・大道具・小道具
のなかで構成を考える必要があります.登録した登場人物以外のセリフは作れません.
Hierographsでは,事前にオブジェクトを登録しますので,このようなシナリオの制約は自然に実
現されます.さらに,セリフの順番を変えたい,セリフを分割して,他の人のセリフを挿入する
等,自由にシナリオの編集をできる機能を持っています.
 第三段階:登場人物がどのような情景で喋るのか,どのようなアングルで見せるのか,その
とき,カメラアングルの外では何が起きているのか,などを3Dグラフィクス機能を使って記述し
ます.これらは,シナリオを書くと頭がいっぱいになって気が回らなくなる部分(人,大道具,小
道具)ですが,Hierographsの空間セットに配置することで容易に確認できます.さらに,随時,
第二段階に戻って思いついたカットを挿入,削除をし,セリフの挿入,削除も自由におこなえま
す.



 シナリオ作成では空間の認識力,空間の表現力を高めることを目的に容易なインタフェース
で3Dグラフィックスを使った2Dの絵コンテ作成機能を持ち,実空間と同じ空間をシナリオ作成
に用いる事を実現しています.求められます.今まで感性とセンスに頼っていた絵コンテの制
作を,このシステムを用いることにより,既存の絵コンテを分析したり,引用したりして,新たな
絵コンテを作成することが可能になります.また,シナリオ,カメラワークなど,異なった得意分
野を持つ人々の共同制作の支援が容易になります.

関係資料へのリンク
Hierographsの簡単な解説(PDF)
Hierographsに関するPaper
ことば工学研究会(PDF)
夏のプログラミングシンポジウム(PDF)
Hierographsの画面イメージ(PDF)



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2001年6月7日