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テーマ展示

概要
暗号で使う共通鍵の送受信を量子通信によって実現すると,外部へ情報が漏れないことが原理的に保証されています.このように,量子通信には従来の通信方式にない能力があります.そこで、量子通信の持つ本質的な性質を定量的かつ厳密に評価することにより,その長所や限界を解明し,安全で快適な通信環境の実現を目指しています.
本テーマ展示では, という2項目について,ご紹介します.
本テーマ展示では, という2項目について,ご紹介します.
展示紹介ムービー
個別展示
量子プロトコルの簡単レシピ - 巨大ネットワーク上における量子プロトコル構成法 -
どんな研究?
量子プロトコルを設計する際,2台の量子計算機が直結されているシンプルなネットワークを仮定することが少なくありません.「このような仮定の下で設計した量子プロトコルは,巨大なネットワークでも通用するのか?」 という疑問に挑戦します.
どこが凄い?
ランダムなビット列を事前に共有できる仮想的通信モデルを導入して解析を行いました.この結果,シンプルなネットワーク上で効率的な量子プロトコルは巨大なネットワーク上においても効率的であることが明らかになりました.
もたらされる変革
巨大ネットワーク上で有効な量子プロトコルの設計が容易になりました.これにより,量子プロトコル設計の生産性が飛躍的に高まり,様々な効率的量子プロトコルの誕生が期待されます.
関連文献
- Seiichiro Tani, Masaki Nakanishi, Shigeru Yamashita. Multi-party quantum communication complexity with routed messages. In Proceedings of the 14th Annual Computing and Combinatorics Conference (COCOON’08), Vol. 5092 of Lecture Notes in Computer Science, pp. 180?190. Springer, 2008. [ Webpage ]
- Seiichiro Tani, Masaki Nakanishi, Shigeru Yamashita. Multi-party quantum communication complexity with routed messages. IEICE Transactions on Information and Systems, Vol. E92-D, No. 2, pp. 191?199, 2009. [ Webpage ]
個別展示紹介ムービー
量子ビットが創る不思議なネットワーク通信 -量子ビットの持つ解析的性質-
どんな研究?
量子ビットは通常のビットと異なり必ずしもコピーできるとは限りません.この性質を用いることで,極めて安全な量子プロトコルの設計が可能になります.そこで,量子ビットのコピー精度を厳密に評価しました.
どこが凄い?
複数の量子ビットをコピーする問題において,「反転(厳密には直交)する量子ビット」をヒントとした場合のコピー精度を,世界で初めて解析的に明らかにしました.これは,空間の対称性を仮定すると自由度が減る性質を利用することで実現しました
もたらされる変革
より安全な次世代情報基盤を実現するための革新技術が求められています.本研究は,絶対安全な量子プロトコルを構築するための核技術となるもので,電子マネーなどのように「コピー不可能」という性質が必要なサービスに欠かせません.
関連文献
- Cloning of qubits with both the cloned state and the state orthogonal to it as inputs, G. Kato, Phys. Rev. A 79, 032315(2009) [ Webpage ]