機械の脳で読み解くヒトの脳
AIと脳情報解析技術の融合による脳メカニズム理解
人間情報研究部 感覚表現研究グループ
堀川 友慈
堀川 友慈
脳活動から情報を解読するブレイン・デコーディングの技術の進歩により、ヒトの心の状態を脳から読み取るマインドリーディングが高い精度で実現可能になりつつあります。講演者はこれまで、深層学習などのAI技術を利用して、脳活動から夢や想像、注意に関わる心的イメージの情報を解読する研究を進めてきました。本講演では、これらの研究を概観するとともに、画像・音声・テキスト情報処理など、実社会の多様な情報処理課題でその有効性を発揮しつつあるAIの技術が、私たちの心を生み出す脳の仕組みの理解にどのように活用できるかについて、今後の課題や展望を交えて議論します。
関連文献
[1] T. Horikawa, Y. Kamitani, "Attention modulates neural representation to render reconstructions according to subjective appearance," Commun. Biol . Vol. 5, No. 34, 2022.
[2] G. Shen, T. Horikawa, K. Majima, Y. Kamitani, "Deep image reconstruction from human brain activity," PLoS Comput. Biol . Vol. 15, e1006633. 2019.
[3] T. Horikawa, Y. Kamitani, "Generic decoding of seen and imagined objects using hierarchical visual features," Nat. Commun . Vol. 8, No. 15037, 2017.
[4] T. Horikawa, Y. Kamitani, "Hierarchical neural representation of dreamed objects revealed by brain decoding with deep neural network features," Front. Comput. Neurosci . Vol. 11, No. 4, 2017.
[5] T. Horikawa, M. Tamaki, Y. Miyawaki, Y. Kamitani, "Neural decoding of visual imagery during sleep," Science , Vol. 340, pp. 639-642, 2013.
機械の脳で読み解くヒトの脳
堀川 友慈
NTT コミュニケーション科学基礎研究所 人間情報研究部 感覚表現研究グループ 特別研究員。2013年奈良先端科学技術大学院大学・情報科学研究科・博士課程単位取得退学。同年博士取得（理学）。2013年より株式会社国際電気通信基礎技術研究所にてfMRIを用いたヒトの心的イメージのデコーディング研究に従事。2021年にNTTに入社以来、深層学習などのAI技術を用いた脳情報解析技術の開発と応用研究に従事。