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リコンフィギャラブル・コンピューティング・システムの設計方式

概要

我々は、設計自動化という観点から、将来の計算機アーキテクチャのあるべき姿を追求している。 特に、書き換え可能な論理デバイスに着目し、問題対応の論理構造が適宜再構成されるシステム、すなわちリコンフィギャラブル・コンピューティング(RC)・システムの実現に向けた研究を進めている。

背景

RCシステムとは、FPGA(Field Programmable Gate Array)に代表される書き換え可能な論理デバイスを用いることによって、論理機能を適宜再構成することができるハードウェア・システムである。 静的あるいは動的な再構成によって、問題に対するハードウェアの適応が可能となれば、極めて高性能なシステムを効率的に実現することができる。 そのためには、有効な論理機能および再構成メカニズムの自動合成・マッピングを可能とする設計技術の確立が、最も重要な課題である。

設計自動化技術

これまで我々は、ハードウェア設計支援システム PARTHENON (Parallel Architecture Refiner Theorized by NTT Original Concept)[1],[2] の研究開発に際し、設計自動化に適したハードウェア構成がどうあるべきかも同時に追求してきた。 RCシステムでは、その設計技術とアーキテクチャとはさらに不可分な関係にあり、同様に両者の検討を進めている。

我々はまず、既存FPGAの利用とPARTHENONの技術の拡張によって静的RCシステムを実現することを目指し、そのための各要素技術の研究を進めてきた [3][4]。 これまでに、静的RCの有効性の評価や、FPGA向けの論理合成技術などに関して研究が進展している。

さらに我々は、将来の動的RCシステムは、FPGA同様の論理機能に加えて内部からの再構成のための基本機能を有するデバイスによって構成されると考え、そのようなシステムのアーキテクチャおよび設計技術に関して検討を進めている(図 1)。

Fig. 1: Devices and design flow for dynamic RC systems
図 1: 動的RCシステムの構成要素とその設計技術の実現イメージ

References

[1]
Nakamura, Y., Oguri, K., Nagoya, A., Yukishita, M. and Nomura, R.: High-Level Synthesis Design at NTT Systems Labs, IEICE Transactions on Information and Systems, Vol. E76-D, No. 9, pp. 1047-1054 (1993).
[2]
PARTHENONホームページ, http://www.kecl.ntt.co.jp/parthenon/.
[3]
名古屋彰: 新しい並列処理アーキテクチャとその設計技術, NTT R&D, Vol. 46, No. 2, pp. 153-158 (1997).
[4]
名古屋彰: 将来のアーキテクチャ設計技術, 第10回パルテノン研究会資料集, pp. 15-16 (1997).

連絡先: 名古屋 彰; Email: nagoya@cslab.kecl.ntt.co.jp