多種視覚処理エージェントの協調によるロバストな特徴追跡

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物体の位置や種々の形状を抽出する静止画像処理エージェント群と、局所的な特徴領域を高速に追跡するトラッキングエージェント群を協調させることにより、よりロバストな特徴追跡手法を開発しました [3]。本手法では、追跡すべき特徴を抽出する静止画処理エージェント群や、抽出した特徴領域を高速に追跡するトラッキングエージェント群が、画像の見え方に応じて動的に生成・消滅します。これらのエージェント群がお互に情報を補完することにより、従来の局所相関法のみでは困難であった画像の回転や拡大についても、非常にロバストに追跡することが可能となりました(図 1)。
マルチエージェントに基づく特徴追跡
図 1: マルチエージェントに基づく特徴追跡

任意形状ペグ挿入タスク

視覚処理エージェント群と、視覚特徴を利用する行動エージェント群を協調させることにより、任意形状のペグ挿入タスク(図 2)を実現しています [3]。ロボットは、ペグの位置や形状に関する知識を一切持ちません。ロボットアームの先端にはカメラが取りつけられており、その画像情報は視覚処理エージェント群に送られ処理されます。ペグを探す、ペグを掴む、対象の穴まで近づく、ペグと穴の形状に合わせてアームを微調整して挿入するといった行動の各段階において、適切な画像特徴の抽出・追跡を行うエージェント群と、その特徴を合わせようとする行動エージェント群とが相互作用することにより、ロボット全体としての複雑な動きが創発します。この手法の特徴は、単一の幾何学的モデルを用いてロボットを制御するのではなく、頂点やエッジなどのより局所的な特徴を合わせる複数のエージェントが並列的にロボットを制御する点です。これら複数の特徴合わせエージェント群がお互いの振る舞いを補完することにより、ロバストで柔軟な制御が可能になりました。また、新たな特徴追跡エージェントと特徴合わせエージェントを追加することにより、より複雑な対象に適応する拡張性も兼ね備えています。

任意形状ペグ挿入タスク
図 2:任意形状ペグ挿入タスク

  1. Mori, A., Hiramatsu, K., Naya, F. and Osato, N.: A Robot-Controlling Agent Description with Finite State Machines, IEEE 4th International Symposium on Distributed Autonomous Robotic Systems (DARS'98), May 1998.
  2. 森 啓, 平松 薫, 納谷 太, 大里延康: 有限状態機械を用いたロボット制御エージェントの記述, 情報処理学会第55回全国大会, Vol.2, pp. 434--435 (1997).
  3. 納谷 太, 平松 薫, 森 啓, 大里延康: 多種視覚情報処理の協調に基づく能動的トラッキングとマニピュレータ行動との統合, 情報処理学会第55回全国大会, Vol.2, pp. 136--137 (1997).
連絡先: 納谷 太; Email: naya@cslab.kecl.ntt.co.jp

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Last modified on Mon Oct 12 15:49:47 1998