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テーマ展示

人間科学 D-1 見る,触る,身体が動く ―脳と身体の統合的理解を目指して―

概要

脳は視覚や触覚,筋に埋め込まれたセンサーなどからの情報をどのように使って外界を表現し,また手や足を動かしているのでしょうか?感覚情報にちょっとした細工をすると,知覚や運動への不思議な影響が現れます.私たちは,これらの現象を応用して,脳が外界とインタラクションするために行っている感覚運動情報処理を解明し,また新しいインタフェースを創出する基盤を築くことを目指しています.
本テーマ展示では, という4項目について,ご紹介します.

展示紹介ムービー

見る,触る,身体が動く
―脳と身体の統合的理解を目指して―
2分15秒
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個別展示

身体知覚の不思議 ~動かす/動かされる時~ -能動運動情報の身体知覚における役割-

どんな研究?

自分のからだがどのような状態にあるかを知覚すること(身体知覚)は,私たちが行動するうえで不可欠な要素です.本研究では,身体知覚が形成される情報処理過程の解明をめざしています.

どこが凄い?

身体知覚は,感覚情報だけで成り立つわけではなく,感覚情報の曖昧さを補うために“からだを動かす”情報も利用していることがわかりました.つまり“知覚”処理には運動も関わっているのです.

もたらされる変革

本知見は,運動によって知覚が変化する可能性を示唆しています.今後このような特性を利用して,知覚を操作できる装置や知覚を向上させる訓練法などへの展開が期待されます.

関連文献

  • Kimura, T., Gomi H. “Sensory mismatch varies motor strategy”. Society for Neuroscience 38th Annual meeting, Washington DC, 2008.
  • 木村聡貴, 五味裕章 “感覚情報の不整合は運動情報ベースの運動方略を引き出す”. 第23回 生体・生理工学シンポジウム, 名古屋, 2008.

個別展示紹介ムービー

身体知覚の不思議 ~動かす/動かされる時~ ―能動運動情報の身体知覚における役割―
身体知覚の不思議 ~動かす/動かされる時~
―能動運動情報の身体知覚における役割―
4分55秒
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運動学習の不思議 ~環境が脳をスイッチ!~ -トレーニング環境で変わる脳の運動学習モード-

どんな研究?

新しい道具を使うときや新しいスポーツを始めるとき,私たちは練習を繰り返すことによって目標の運動を達成できるようになります.本研究は,新たな身体運動を学習する脳の情報処理メカニズムの解明を目指しています.

どこが凄い?

身体の動きの裏に潜む脳の内部状態を,様々な外乱に対する身体応答から推定しました.そして,トレーニング環境に応じて,脳が異なる学習の“モード”を選択することがわかりました.

もたらされる変革

将来,トレーニング環境を調節して脳の学習モードを「操作する」ことが可能になるかもしれません.スポーツの新たな訓練方法の開発や,ヒューマンインタフェースの設計などへの応用が考えられます.

関連文献

  • 西條直樹, 五味裕章, “手先回転変換の変化に応じた腕到達運動の学習戦略.” 電子情報通信学会論文誌, Vol.J92-D,No.4,pp.552-561, 2009.
  • N. Saijo, H. Gomi, “Strategy changes in motor learning according to the increasing rate of visuomotor rotation and to the online visual feedback. “ Society for Neuroscience Annual Meeting Abstract, 2008.

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運動学習の不思議 ~環境が脳をスイッチ!~ ―トレーニング環境で変わる脳の運動学習モード―
運動学習の不思議 ~環境が脳をスイッチ!~
―トレーニング環境で変わる脳の運動学習モード―
2分57秒
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温度感覚の不思議~触覚で温度感覚が変わる~ -温度感覚と触覚の統合メカニズムの解明-

どんな研究?

対象物に触ったときの温度感覚は,物理的な温度だけでは決まりません.実は,対象物への触り方も,感じられる温度に影響を与えるのです.このことを示す錯覚を発見し,温度感覚と触覚の統合メカニズムを分析しました.

どこが凄い?

3本の指で対象物に触るとき,それぞれの指に与える温度の組み合わせによって,温かいものに触れていない指まで温かく感じたり,温かいものに触れている指の温かさが弱まって感じたりする錯覚が生じます.

もたらされる変革

今後,この研究をさらに進め,対象物の手触りを認識する脳のメカニズムを明らかにするとともに,温覚ディスプレイの開発など工学的応用にもつなげていきます.

関連文献

  • H.-N. Ho, J. Watanabe, H. Ando, M. Kashino (2008) “Role of Touch in thermal localization,” in 9th International Multisensory Research Forum, Hamburg, Germany, July, 2008.
  • H.-N. Ho, J. Watanabe, H. Ando, M. Kashino (2008), “Perceptual thermal uniformity created by thermal referral,” in Neuroscience 2008, No. 178.28/QQ35, Washington, DC, USA, November, 2008.

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温度感覚の不思議 ~触覚で温度感覚が変わる~ ―温度感覚と触覚の統合メカニズムの解明―
温度感覚の不思議 ~触覚で温度感覚が変わる~
―温度感覚と触覚の統合メカニズムの解明―
6分8秒
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力感覚の錯覚を利用して視覚障がい者を道案内 -手のひらサイズの多自由度「ぶるなび」による歩行誘導-

どんな研究?

人間の知覚特性を利用して携帯端末で牽引力感覚を発生させる装置を提案・開発しています.京都市消防局,京都府盲学校と協力しながら,災害時に視覚障がい者の避難誘導を補助するシステムの実証実験を行いました.

どこが凄い?

視覚障がい者が白杖を持つことを考慮し,片手で持てるCDサイズの装置を設計し,リンクとカムの融合機構から成る非対称振動発生装置を開発しました.これにより,聴覚情報を遮断した条件下でも歩行誘導ができます.

もたらされる変革

携帯電話などの情報端末に組み込むと,音声案内に加え,体性感覚情報を介した歩行経路の誘導が可能になります.また直観的な方向指示ですので,外国人観光客などのガイドにもすぐに応用できます.

関連文献

  • T. Amemiya, T. Maeda, “Directional Force Sensation by Asymmetric Oscillation from a Double-layer Slider-crank Mechanism,” J. Computing and Information Science in Engineering 9(1), Mar 2009.
  • T. Amemiya, H. Sugiyama, “Design of a Haptic Direction Indicator for Visually Impaired People in Emergency Situations,” In Proc. of ICCHP 2008, pp.1141-1144, July 2008.

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力感覚の錯覚を利用して視覚障がい者を道案内 ―手のひらサイズの多自由度「ぶるなび」による歩行誘導―
力感覚の錯覚を利用して視覚障がい者を道案内
―手のひらサイズの多自由度「ぶるなび」による歩行誘導―
4分30秒
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展示担当者