不完全データから最尤推定値を求める汎用手法としてEMアルゴリズムが広く用いられていますが、局所最適性という実用上の課題がありました。本研究では、最大エントロピー原理と統計力学のアナロジーを用いて、尤度関数の最大化問題を「温度」に依存する自由エネルギー関数の最小化問題として再定式化し、この温度を用いてアニーリング過程を制御することにより、局所解からの脱出とより良い解への誘導を可能にする確定的アニーリングEM(DAEM)アルゴリズムを考案しました。推定パラメータの初期値の如何に関わらず、良好なパラメータ推定を実現できることを実証しました。
