コミュニケーションと計算の科学

研究展示 8

あなたの量子メモリをちょっと拝借!

~未初期化量子ビットを利用した高速量子計算~

どんな研究

計算を行う前に、通常、メモリを初期化する必要があります。しかし、量子コンピュータの場合、この初期化が容易ではありません。本研究は、初期化を省略して、初期状態が不明である量子メモリを使っても、複雑な計算を間違うことなく実行することを可能にします。

どこが凄い

通常の量子アルゴリズムでは、出力がメモリの初期状態に依存するため、正しく計算できません。本研究成果は、メモリの初期状態を知ることなしに、初期状態への依存性をキャンセルする技術です。計算終了後、量子メモリは元の状態に復帰するため、メモリ内データを再び利用できます。

めざす未来

量子メモリを複数の計算タスクで共有することが可能になるため、実質的に、より多くの量子メモリを使用した量子計算が可能になります。この結果、量子アルゴリズムの並列性が増し、量子コンピュータのさらなる高速化、適用領域の拡大や早期実用に貢献します。

関連文献

  • [1] Y. Takahashi, S. Tani, “Power of uninitialized qubits in shallow quantum circuits,” in Proc. 35th Symposium on Theoretical Aspects of Computer Science (STACS 2018), pp. 57:1-57:13, 2018.
    [2] Y. Takahashi, S. Tani, “Power of uninitialized qubits in shallow quantum circuits,” arXiv:1608.07020v3.

ポスター

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当日の様子

展示代表者

谷 誠一郎
谷 誠一郎
メディア情報研究部