コミュニケーションと計算の科学

研究展示 10

人工知能は文脈を読んで翻訳できるか?

~ニューラル翻訳の文脈理解度をテストする~

どんな研究

複数の文を一度に入力した場合に、機械翻訳システムが文脈を理解して適切な訳文を生成できるかを評価する方法の研究です。先行する文によって入力文に対する正解訳が変化する例を集め、訳し分けの鍵となる言語現象ごとに分類して、文脈理解度テストとしてまとめました。

どこが凄い

日本語から英語への翻訳において文脈の理解が必要となる事例を系統的に収集した初めてのデータベースです。主語や目的語の省略が多く、語義の違いを漢字で表現するという日本語の性質から、英仏翻訳を対象とした先行研究とは異なる独自のアプローチが必要でした。

めざす未来

深層学習の発展により、一つの文の意味を大まかに伝える機械翻訳技術は確立しました。今後は、文脈や状況を理解して、省略を補完しながら一貫性のある文を生成するだけではなく、個人性・感情や文体などまで伝達可能なコミュニケーションツールとしての機械翻訳をめざします。

関連文献

  • [1] M. Morishita, J. Suzuki, M. Nagata, “NTT Neural Machine Translation Systems at WAT 2017,” in Proc. The 4th Workshop on Asian Translation (WAT-2017), 2017.
    [2] R, Bawden, R. Wennrich, A. Birch, B. Haddow, “Evaluating Discourse Phenomena in Neural Machine Translation,” in Proc. The 16th Annual Conference of the North American Chapter of the Association for Computational Linguistics (NAACL-2018), 2018.

ポスター

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当日の様子

展示代表者

永田 昌明
永田 昌明
協創情報研究部