研究展示
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熟練音楽家の巧みな身体制御の秘密非線形時系列解析を用いた熟練音楽家のスキル評価 ![]() |
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どんな研究 |
熟練音楽家は巧みに身体を制御することで魅力的な音楽を奏でます。その特徴は矛盾する運動の速さと安定性の両立にありますが、実現方法は十分に明らかではありません。この研究では、音楽家の最速指運動を対象に非線形時系列解析を用いて、その巧みさの秘密に迫りました。 |
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どこが凄い |
速さと安定性の両立には、運動のばらつきがもともと小さい、または修正能力が高い、などの複数の実現方法が考えられます。これらを独立に評価できる再帰性定量化分析という非線形解析手法を自然な演奏動作に適用し、音楽家は運動の修正能力に優れることを初めて明らかにしました。 |
めざす未来 |
ばらつきがもともと小さいのではなく修正能力に優れるという点は、巧みな身体運動制御を身に着ける上で1つの指標となりえます。この指標をもとにヒトの巧みさや不調の解明を進め、技能の熟達を支援する方法の確立をめざします。 |

[1] K. Honda, S. Fujii, “Tapping performance of professional and amateur darbuka players,” Frontiers in Psychology, Vol. 13, pp. 1-10, 2022.
[2] K. Honda, S. Fujii, “Bimanual finger coordination in professional and amateur darbuka players,” Experimental Brain Research, Vol. 241, pp. 2645-2654, 2023.
本田 一暁(Kazuaki Honda)柏野多様脳特別研究室