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「歩く」と「感じる」とで異なる速さ

脳情報処理における自己速度推定の多重性

「歩く」と「感じる」とで異なる速さ
どんな研究

私たちは歩くときに、眼から得られる情報に基づいて、無意識のうちに、自身の歩行速度を推定し、効率的に歩ける速度になるように歩行運動を調節しています。本研究では、この運動の調節を司る脳の速度推定が自己運動の知覚に関わる速度推定と同じものなのかどうかを調べました。

どこが凄い

実験参加者が仮想的な廊下を歩くときの壁の模様の細かさが歩行速度に与える影響と、座っているときに同じ映像を見て感じる速度の関係を調べました。その結果、歩行運動の調節に関わる脳の速度推定が、座っているときに映像から感じる速度感と一致しないことが明らかになりました。

めざす未来

本研究の成果は、ヒトの無意識的な運動に関わる脳の速度計が、知覚の速度計と同じでない可能性を示唆しています。知覚に加えて運動のための脳の速度計のしくみを調べることは、私たちの動きを効果的にアシストするインターフェースのデザインに貢献する可能性があります。

「歩く」と「感じる」とで異なる速さ
関連文献

[1] S. Takamuku, H. Gomi, “Vision-based speedometer regulates human walking,” iScience, Vol. 24, No. 12, 2021.

[2] S. Takamuku, H. Gomi, “Increase in density of optic-flow deteriorates self-motion velocity perception and decreases implicit adjustments of walking speed,” in Proc. The 48th Annual Meeting of the Society for Neuroscience (Neuroscience 2018), 2018.

ポスター
連絡先

高椋 慎也(Shinya Takamuku)人間情報研究部 感覚運動研究グループ

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