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人間はなぜ音の変化を聞き分けられるのか聴覚系の生理学的・心理学的性質を計算モデルで理解する ![]() |
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どんな研究 |
人間は音の強弱の時間変化を聞き分けることができます。本研究では、人間がなぜそのような能力を獲得したのかを、計算機シミュレーションにより調べました。聴覚系の計算モデルを用いて、強弱が時間変化する音への反応を調べる知覚実験と神経科学実験をシミュレーションしました。 |
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どこが凄い |
モデル構築の際に聴覚に関する知識を極力使っていないにも関わらず、人間の聴覚と似た性質がモデルに発現していました。同じモデルで色々な実験をシミュレーションすることで、音の聞き分けと、細胞レベルの反応特性という、異なるスケールの現象を統一的に説明できました。 |
めざす未来 |
人間の聴覚が持つ様々な性質をシミュレーションできるようになると、より聞こえやすい補聴器や人工内耳の設計や、どんな環境でも快適に音が聞こえるイヤホンの設計に繋がります。また、個人ごとの聴覚能力に適した音環境をデザインできる可能性があります。 |

[1] T. Koumura, H. Terashima, S. Furukawa, “Cascaded tuning to amplitude modulation for natural sound recognition,” Journal of Neuroscience, Vol. 39, No. 28, pp. 5517-5533, 2019.
[2] T. Koumura, H. Terashima, S. Furukawa, “Human-like modulation sensitivity emerging through optimization to natural sound recognition,” Journal of Neuroscience, Vol. 43, No. 21, pp. 3876-3894, 2023.
上村 卓也(Takuya Koumura)人間情報研究部 感覚表現研究グループ