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コミュニケーションと計算の科学
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人から人への信頼を橋渡しするチャットボット

ユーザの悩みを専門家に届けるチャットボットの設計と評価

人から人への信頼を橋渡しするチャットボット
どんな研究

大きな悩みを抱える人は専門家の見解を仰ぐことが重要であるにも関わらず、社会との関わりに疎く専門家に助けを求めない傾向があります。そこで、他者に直接相談しづらい悩みを、対話エージェントを用いて打ち明けやすくし、その内容を専門家へ伝えることを支援する対話エージェントを開発しました。

どこが凄い

対話エージェントに関する従来研究は、人とエージェントの関係に焦点を当てたものが大半で、人同士をつなげることをめざした研究は世界的にも例を見ません。トラスト・トランスファー理論を活用することで、信頼関係を媒介する対話エージェントを開発し、その有効性を確認しました。

めざす未来

情報技術の普及によって誰とも簡単につながることができる半面、人間関係の希薄化や分断、孤立化が問題になっています。そこで、人と人の信頼関係を橋渡しする対話エージェントを用いて人間関係を再構築することによって、孤立化を防ぐインクルーシブな社会の実現に貢献します。

人から人への信頼を橋渡しするチャットボット
関連文献

[1] Y. Lee, N. Yamashita, Y. Huang, “Designing a Chatbot as a Mediator for Promoting Deep Self-Disclosure to a Real Mental Health Professional,” in Proc. ACM Hum.-Comput. Interact. 4, CSCW1, Article 031, (CSCW'20), ACM, pp. 1-27, 2020.
[2] Y. Lee, N. Yamashita, W. Fu, Y. Huang, ““I Hear You, I Feel You”: Encouraging Deep Self-disclosure through a Chatbot,” in Proc. the 2020 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI '20), ACM, pp. 1–12, 2020.

展示説明ムービー
Q&A
Q.質問/コメント A.回答
Q.質問/コメント

大変興味深い内容をありがとうございます.
チャットボットとユーザの信頼関係を構築する上で,今回は双方による自己開示を用いたとのことですが,信頼関係を構築するにあたり他にも検討した要素があれば教えていただきたいです.

A.回答

ご質問、ありがとうございます。他の要素はまだ検討できていませんが、今後、検討していきたいと考えています。人間同士の場合、互いの自己開示によって徐々に関係性を深めていくことが知られており(社会的浸透理論)、本研究はこの理論を参考にチャットボットを構築しました。

Q.質問/コメント

現在、よく使われているチャットボットとして、商品をすすめてくるものなどがあります。
例えば、プレゼントの購入を検討している方に予算や相手(家族、友人等)を選んでもらい、おすすめの品物を提示するというものです。
こういったものでは(百貨店の店員さんのおすすめ等と比べ)信頼関係が築きにくいと思われますが、信頼の橋渡しのしやすさは話題により変わるのでしょうか。

A.回答

そうですね。話題によって変わると思います。また、チャットボットが商品をすすめてくるまでに、チャットボットとの間である程度信頼を築けているかどうか、ということも影響してくると思います。
ちなみに、「信頼の媒介」という観点では、たとえば、知らないお店が行う商品の宣伝より、有名な百貨店の宣伝の方を信じやすいように、仲介者が必ずしも人でなくとも(モノや店舗であっても)、信頼を媒介できると言われています。

Q.質問/コメント

とても面白く興味深かったです。人間のユーザが自分の持つ信頼度を定量的に評価するのはなかなか簡単ではない気もするのですが、アンケートによる主観評価時には実験参加者に信頼度の基準を与えてらっしゃったりするのでしょうか?また、客観的な評価なども検討されていたらぜひ伺いたいです。

A.回答

興味を持って下さり、ありがとうございます。仰る通り、信頼度を計測するのはそう簡単ではありません。ユーザ毎に「信頼度」の持つ意味が異なっている可能性がありますが、今回のアンケートでは、その定義について基準を与えていません。
客観評価については、今回の実験では、各ユーザの自己開示量(テキスト量)や、自己開示の深さ(複数人のラベラーが深さの基準を用いてレーティングしました)を用いて評価を行いました。

Q.質問/コメント

個人のキャラクタに依存する気がするのですが、被験者のキャラクタ分布はどのようになっているのでしょうか。

A.回答

ご指摘の通り、ユーザのキャラクタによって効果に違いが出る可能性はあると思います。今回の実験では、まだそこまで調べられておりません。本研究では、チャットボットに信頼橋渡し機能を付けたものと付けなかったものを比較することに焦点を当てていたため、ユーザとの相性については、今後の課題となります。

Q.質問/コメント

今後の展開について聞かせてください。

A.回答

専門家からのアドバイスを仲介するチャットボットを検討しています。

Q.質問/コメント

チャットボットを人だと疑った被験者はいましたか?

A.回答

実験当初に、AIで動いていることを伝えていました。それでも、信頼が形成されるのは興味深いと考えています。

Q.質問/コメント

被験者がアンケートに回答するとき、どれくらい真剣に回答したのでしょうか?

A.回答

実際の精神科医につなげる可能性を示唆していたため、真剣に回答していたと考えています。

ポスター
連絡先

山下 直美 (Naomi Yamashita) 協創情報研究部 インタラクション対話研究グループ
Email: cs-openhouse-ml@hco.ntt.co.jp

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