HOME / 研究展示 / 光の位相で微弱な音を捉えます
研究展示
メディアの科学
14

光の位相で微弱な音を捉えます

精密光干渉計による非接触音場計測

光の位相で微弱な音を捉えます
どんな研究

マイクロホンでは実現困難な多様な音計測を実現する手段として光を用いた方法が注目されています。本研究では、NTT物性科学基礎研究所量子光デバイス研究グループと共同で、精密光計測技術を用いた従来よりも遥かに低雑音な音場計測技術を実現しました。

どこが凄い

音と雑音成分の物理的な特徴の違いに着目して、音に対する感度を最大化しつつ雑音を低減する差動型ミッドフリンジロック干渉計による音計測技術を提案しました。本技術を高安定レーザ技術と組み合わせることで、従来の方法に比べて計測雑音の振幅を1/30に低減しました。

めざす未来

従来の音計測ではセンサとして用いるマイクロホン自身の大きさ・不安定さに起因する空間分解能・計測精度の限界が存在します。光学分野で培われた精密計測技術を応用することで、音空間の3次元計測、リモートセンシング、超高精度計測など音計測の飛躍的な進歩を実現させます。

光の位相で微弱な音を捉えます
関連文献

[1] 石川憲治, 白木善史, 守谷健弘, 石澤淳, 日達研一, 小栗克弥, “光差動検出によるミッドフリンジロック干渉計の低雑音化,” 日本音響学会講演論文集, 2021.
[2] 石川憲治, 白木善史, 守谷健弘, 石澤淳, 日達研一, 小栗克弥, “ミッドフリンジロック干渉計によるシンプルかつ低雑音な光音響計測法,” 日本音響学会講演論文集, 2020.

展示説明ムービー
Q&A
Q.質問/コメント A.回答
Q.質問/コメント

音源が複数ある場合や背景雑音等が存在する場合でも光による音響計測を実現することが可能なのでしょうか?

A.回答

はい、可能です。どのような種類の音であれ、光が透過した経路上の積分値が観測されます。例えば2つの音源が離れて存在するとき、光が両方の音源の近くを透過した場合は両方の音源からの音が明瞭に測定されますが、片方の音源の近くのみを透過した場合は片方の音のみが大きく測定されます。背景雑音についても基本的な考え方は同じで、雑音源の位置と光の伝搬経路の関係によって測定される量は変化します。

Q.質問/コメント

マイクロホンの代わりに音楽の録音等に使用できますか?

A.回答

原理的には使用することが可能です。注意点としては、光による計測では1 kHz以下の低周波成分に比較的大きな雑音が存在するため、精密なマイクロホンに比べると低周波領域での信号対雑音比は低くなります。現在、低周波雑音原因の解明やさらなる雑音低減に取り組んでいます。

Q.質問/コメント

どのような場面で役に立ちますか?

A.回答

光計測の持つ非接触性によって、音源極近傍や気流の存在する領域などこれまでマイクロホンの使用が困難であった状況においても、測定対象となる場を乱すことなく測定を実現できます。そのような特徴を活かして、これまでにスピーカ放射特性の解析、楽器の発音原理解明、空力音響現象の観測などに活用されています。

Q.質問/コメント

マイクロホンとの違いは何ですか?

A.回答

マイクロホンは音によって生じる膜の振動を電気信号に変換することで音を測定するセンサで、検出される信号は常にマイクロホンが設置された位置の音です。一方光による計測手法では、測定したい領域に向かって光を放射し、音によって生じた光の位相変化を検出します。光計測のユニークな点は、「音を測定したい位置に物体を設置する必要がない」という性質です。我々はこの性質を「非接触性」と呼んでいます。

ポスター
連絡先

石川 憲治 (Kenji Ishikawa) メディア情報研究部 情報基礎理論研究グループ
Email: cs-openhouse-ml@hco.ntt.co.jp

他の研究展示はこちら